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kasugaimidori

ロールシャッハ・テストについて

更新日:2022年1月8日

「心理テスト」と聞いて、何が思い浮かぶでしょうか?

御自分と関わる部分で、発達に関わるテスト、知能テスト、就職時によく使われる性格傾向テストなど、思い浮かぶものはそれぞれかと思います。

心や行動のしくみを研究する心理学では、なんとか人の心の動きや傾向を数値化して目に見えるものにできないかと、長年にわたり、様々な研究が行われてきました。

それでも、「これ」という限られた心理テストが台頭してこないのは、それだけ人間の心が多岐に渡っているということでしょうか。


今日は人格検査のロールシャッハ・テストについて、少しお話をしたいと思います。

投映法の検査なので、何を検査されているのかわからないために、少々「占い」のような期待をもって、検査を受ける側も、勉強する学生もとりかかることの多い検査です。

ただ、多くの心理学の学生は、その勉強を投げ出してしまいます(笑)

それは、スコアリングまでは頑張って習得しても、解釈がなんとも曖昧で難解で、何年勉強しても「できます!」と言えない果てしなさを感じてしまうことが多いからです。

私も学生の時には一度、放棄してしまいました。。。


卒業後の業務で、「エクスナー法」と呼ばれるロールシャッハ・テスト法に出会います。

同じ検査の中で、〇〇法、〇〇法、って解析・解釈法が分裂してる自体、もうこの検査は生き残れないのではないか⁉と思いましたが。

それでも、エクスナー法と呼ばれる解析・解釈法は、明確に方法が明記されており、まだまだ立ち上がったばかりの学会が企画する研修会が開かれていました。

何よりも、何を解析しているかが、スコアリングの段階から目的がはっきりしていることが、私には本当に目から鱗だったのを覚えています。


手当たり次第に勉強してきたので、いつの間にか「エクスナー法」が「包括システムによるロールシャッハ法」なんて長い名称に変更された理由も知らずにきてしまいました。

最近、学会がこのテスト法実施のための資格を作り、本格的に研修が動き出したため、一番の基礎の講座を受けてみました。

ロールシャッハ・テストの歴史、何とも人間臭いものでした。


ロールシャッハ本人がどんな思いから、図版作りをしたのか、何枚もの図案からたった10枚の図版に絞られた経緯はとても現実的な理由でした。

ロールシャッハ本人が若くして亡くなってしまったことで、いわゆる1本の道にならず、様々な研究者がそれぞれに解析法を考え研究をしたあげく、2大巨頭の2人が何とも子供っぽい大ゲンカをしたために、未だ〇〇法、〇〇法…と手法が分裂する傾向にあることなど。


それでも、ロールシャッハ・テストが消えなかったのは、やはりそのテストのもつ魅力なのでしょう。

ケンカをしていた大御所の弟子世代にあたるのが、エクスナーであり、彼は飄々とそれぞれの手法から科学的に立証でき、人の性格を多角的に捉えるために必要な指標を取り出し整理し、膨大なデータを取り、検査方法や解析方法を統一化することで、データ同士を比べることができるようにしたのです。

心理学はやっぱり科学なのだなぁと感じるのは、こういうところでしょうか。


「包括システム」とは、「いろいろあったけど、全部ひっくるめて辿り着いたもの」みたいな意味合いのようです。

誰もが一定レベルで解析・解釈できるようにしたことで、その功績はとても大きいと思いますが、「包括システムによるロールシャッハ法」のもつ本当の魅力は、その結果をクライエントや検査を依頼した支援者に、その目的に合わせて、「理解できる言葉で」フィードバックをすることができることにあると思っています。

そしてそのフィードバックに、検査者の臨床力が問われてくると思っています。

検査や解析はある程度、厳格に方法が決まっているので、勉強すれば誰でもとれるようになっています。

しかし、フィードバックを検査者が一方的に説明するだけで終わってしまっては、このテストの魅力と効果は半減します。

データからこういう結果が出ているけれど、どうしてそういう結果が出るに至ったのかを探れるのは、クライエント本人とそれを手伝うセラピストなのです。

2人でこの結果を眺めつつ、ああでもないこうでもない、とクライエントについて真剣に話し合う、これがカウンセリングの最初にできるかできないかで、その後のカウンセリングの意義がまるで違ってきます。

セラピストとクライエントの距離がぐっと詰まる感覚とでも言えるでしょうか。


時には、占い感覚と混同してしまうので、結果を聞くのが怖いと思うクライエントさんもいらっしゃるようです。

でも、意外なことも怖い事実もないんです。

あなたが見た、話したことの結果であり、それをデータ化したものなので、

クライエントご本人にとっては、「ああ、確かにな」と思うことばかりのはずです。

むしろ、セラピストにとっては、ジグソーパズルのピースがたくさん状態なので、

クライエントさんに手伝ってもらわないと、せっかくとったデータを形に仕上げられないのです。

カウンセリングが協同作業であることと、ロールシャッハのフィードバック作業、共通していますよね。


私がカウンセリングにいらした方に、ほぼすべての方に心理テストをお勧めしているのは、こうしたテストの効用をぜひ体験して頂きたいからなのです。

少々面倒だし、疲れるけれど、ぜひチャレンジしてみて下さいね。


テストとフィードバックだけを体験されたい方、カウンセリングまでは…だけど、気になる方、他でロールシャッハテストを受けたけど、なんの説明もしてもらえなかった、数字の結果だけでよくわからない、以前受けたけど、今は変わったかな?変わってないのかな?など、御自分を見つめるきっかけにしたい、等々、様々に御利用が可能な心理テストです。

気になった方は、ぜひお問合せ下さい。




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